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進化の布石

「よしこれで大丈夫だ」

ヒデオは脳内で喋ってみた。

【ヨーゴーデダーゾーブガ】

「やったぞ!!!」

【ヤガドォヲ〜ン】

「やれてないじゃん」
とミカ。

「まったく君はわかってない。
頭で思ったことを離れた物体がしゃべるんだぞ

これがどんだけすごいことか……」
「ギギバ バックリパカットウォン…」

あわてて磁場から頭をはずして、ヒデオは何やらしゃべりだしている。

確かにドラえもんがタイム・トラベルした時代では糸なし糸電話は存在などしていなかった。※1
相対性理論がどうのこうのと言ってその存在を拒否し、決して実現することのない未来の絵空事であった。※2

しかし、事実やってのけたのだ。

蓋を開けてみれば……

蓋を開ければすべては当たり前に成り下がる。

こういった新しいことの担当者が科学者だからいけないのだ。

相対性理論だの時空の壁だの難しく考えるからいけないのである。

ヒントはミカから得た、

「糸電話から始めれば?」

たったこれだけですべてが氷解していく。

音声のからくり。

振動、伝搬、そしてまた振動、これだけである。

今日ではすべてのものが振動していることが知られている。

音声は空気の振動として一般的に認識されているが、光も電磁場の振動であり、固体ですら振動している。

伝搬に関しても、物理的な移動だけでなく空気の振動や電磁波の振動として伝搬することができる。

周囲を見渡すと振動だらけなのである。

エネルギー保存の法則にしてもしかりである。

周囲を見渡すとエネルギーに満ち溢れている。

そのエネルギーをちょっと拝借すればよいのである。

残念ながら今回は拝借ではなく、特別に用意した磁場環境の中での実験ではあるが。

電磁波の波長は、新たに発見するまでもなく、事前に答えを得ていたので簡単である。

電子レンジと同じ周波数の磁界を用意すればよいのである。

電子レンジで思い浮かべると黒焦げになるかとビクビクモノだがBluetoothといえば安心であろう。

実験に必要な磁場の発生には1マイクロワットもあれば十分だった。

いきなり被験者が人間でではまずかろうとマウスで行った実験は失敗した。

マウス語がわからなかったのである。

次の実験では「ニャウリンガル」も「人猫語翻訳機」もまるで使いものにならないことがわかっただけである。

そこまでやって初めて自分が昔口走った言葉を思い出した。
後に「ワタシも預言者ですね」とか自慢気に言っているが、皆「ただの馬鹿」のほうに一票を投じた。

そう、3Dプリンターで顔と喉を印刷したのである。

積層ピッチを5000nm(0.005mm)から50000nmの間で声帯をプリントし、そこにろうそくの光を当てるだけであった。※3

ろうそくを使うのは、波長と1/fゆらぎのおりなす偶然の産物を模倣出来なかったからである。

「私の名前ははるか」
【バダシノゲンハマンガ】

「ねえヒデオ」
【ネエジロー】

「あ〜 発表が待ちきれないー」

しかしミカは悲しげに、ポツリと呟いた。
「残念だけどこれは発表されないみたいよ」

その頃からミカは変わりだしていった。
一人で思い悩んでいたり、陽気に歌を歌っていたり、
そしてとうとう医者通いをするようになっていった。

そしてある日、番犬としてよろしく面倒を見てくれた飼い主への恩も忘れ、ある日忽然と姿を消すのであった。

ヒデオは預言者のことだから自分の最期を知り、飼い主の目に入らぬところに身を隠したのだろうと
「探し人」の張り紙を貼って回ったりしていたが、ある日、ふとミカの置き忘れていった薬に目をやった。

尋ね人

尋ね人:坂東ミカ

『リフレックス』※4

振動、伝搬。
次なるキーワードをみつけたのだ。

振動、伝搬、反射。

「これはワタシの手には負えない」
ヒデオは今までの実験すべてを投げ出し、ミカのことも忘れ、論文を一気に書き上げ「Norton」に投稿した。

「イメージマップによる時空を超えた転送手法の実験結果」
「ノストラダムスの大誤算と予言から帰する終焉」
「バッハの作り方とタイムマシンの次元の低さの意味すること」

※1
ヒデオはこの時、同時に実験結果を1968年頃のブライアン・オールディスに向けて発信したと自慢気に語っていた。
『糸なし糸電話』が完成するのは22世紀である。
png

※2
21世紀に生きる読者は量子テレポーテーションが実証されたことで相対性理論が崩れたことをご存知でしょう。

※3
ろうそくの光の波長は500nm位?

※4
抗うつ薬

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